le petit prince

ものすごく繰り返し読んでいるわけでもないのに、

なぜか捨てられない本としてサン=テグジュペリの「星の王子さま」が挙げられる。

 

"いちばんなたいせつなことは、目に見えない"の一節であまりにも有名な作品。

 

初めてこの本を読んだときは、愛や友情や時間は目に見えないけど生きていく上で一番大切だということを著した本なのだなと思っていたけれど、未熟な解釈だったなと駅を行き交う人々を横目にふと思った。

 

確かあの本を初めて読んだのは中学生の頃で、母が昔を思い出して読み返していた新潮文庫をなりゆきで私がずっと持っているから、もう15年くらいの前の話になる。

これだけ年数が経っていれば、解釈が変わるのも当然といえばそうなのだけど。

 

"いちばんたいせつなことは、目に見えない"の究極って、

変化のことなんじゃないかと思う。

今この瞬間、駅で行き交う人々にもそれぞれの日常があって、

当人からすればいつもと同じ毎日を送っているように思えるかもしれない。

 

けれど、少しづつ、少しづつ、変わっている。

自分も、周りも。

 

身だしなみや服装の好みや美味しく感じる食べ物。

好きな場所、仕事や勉強の仕方や、人との付き合い方。

 

変化の始まりはいつもクレープ1枚の薄さのようでいて、

味気もさほどなく、言われなければ分からない事も多い。

たかだかクレープ1枚程度の薄さと思う人も中にはいるだろう。

けれど、ミルクレープみたいに変化の層が積み重なることで、

私たちの価値観や日常が変わるような出来事だったり、

大きなチャンスや変化がもたらされるのだろうと思う。

 

思わぬ道草は人生につきものだからこそ、

変化アンテナをちゃんと研ぎ澄ませておくことが

いちばんたいせつなんじゃないかと30歳の私は考える。

 

明日は部分日食が見れる日なのに、首都圏の予報は雨。

星も月も見えないかなぁ。